2007年05月02日
しょうがを作らない家(民話伝承)


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【宇久須の民話シリーズ 2】
しょうがを作らない家
昔、昔のお話です。
源平の戦いに敗れた平家の落ち武者が、諸国を彷徨い歩き、
神田の里

長い逃亡生活で、落ち武者は着物も無残に破れて、目はくぼみ、
髪は伸び、髭面で、全身まっくろな垢に汚れていました。
もとは平家で名だたる名将であったのかもしれません。
ようやく、ここまで辿り着くと、畑の中に座ったまま動こうともせずに
はく息も細々としていました。
敗れた平氏の残党狩りは執拗に続き、ここ西伊豆の田舎にも
鎧兜に身を固めた数人の源氏の武者がやってきました。
源氏の追っ手は、畑にいた里人に、
「ここに平家の落人が逃げてこなかったか」と尋ねました。
哀れに思った里人は、黙っておこうかとも思いましたが、
もし、嘘が分かれば切り殺されます。
しかたなく震えながら、落人が隠れている畑を指さしました。
源氏の武者たちは畑にずかずかと入っていくと、落人を見つけました
戦う気力も無く疲れ切っていた落人は、刀を抜く力も無く、
あっという間に斬り殺されました。
固唾を呑んで震えながら見守っていた里人は、
骸(死体)のそばに座りこみ、恐ろしさと後悔で口もきけず、手を合わせ、
祈ることさえ忘れていました。
あまりのショックからか、高熱と後悔で毎日うなされ、
起きあがることもできずに寝たきりの状態になってしまいました。
里人は、落人の骸(死体)を丁寧に葬り、祀りました。
落人が、隠れた畑が「しょうが畑」だったのです。
それからというもの、落人の霊を慰めるため、しょうがを作らないことを、
里で誓い合いました。
隠れ場所を教えた、畑の農家では代々しょうがを作らないということです。
※現在も神田ではしょうがは作らないそうです・・・
でも、買ってきて食べるとのことです。
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追記です!
神田在住の「みつえ」さんより、情報をいただきました。
現在、神田で、しょうがを作らない家は7軒。
「宮石」家だけなのだそうです。つまり、この伝承にある
一族は「宮石」一族なのです。情報をくれた、みつえさん・・
旧姓は「宮石」さんです。末裔の方です。
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Posted by 鈴木達志 at 15:10│Comments(0)
│宇久須
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